漢字に触れる機会が少ないからこそ、工夫が必要
現地校やインターナショナルスクールに通っていて、週に1回だけの補習校の学びでは、日本国内にいる子どもたちに比べると圧倒的に、漢字に触れる機会が少なくなります。
海外で暮らしながら、いかに日本国内の子ども同様に漢字を身に着けるかは、永遠のテーマですね。そこで今回はお勧めの方法を3つ紹介します。
漢字を「意味がある文字」と、とらえさせたい!
国内の通塾生が定期試験対策に取り組む様子を見ると、小学校の間に漢字を「単なる文字」ととらえてきた生徒と、「意味がある文字」として理解してきた生徒では大きな差があります。
例えば、社会の歴史で「墾田永年私財法」を覚えるとき、呪文のように
「こ ん で ん え い ね ん し ざ い ほ う」と唱える生徒と、漢字の意味から、
「新しく土地を開墾したらいつまでも自分の財産になる法律なんだな」と理解する生徒がいます。
呪文で覚えるタイプの生徒はその場しのぎで、すぐに忘れてしまいますが、漢字の意味を理解する生徒は定着率が高いです。
「禁中並びに公家諸法度」が出てきたら、漢字を「意味がある文字」として理解してきた生徒は「公家は前にも出てきたけど、禁中って??」と意味が分からない言葉を調べます。ちなみにWikipediaには
とありました。「そうか、天皇の家の中ってことか」と意味を確認します。これを繰り返すことで、国語で知らない熟語が出てきても、それぞれの漢字から熟語の意味を推測して読めるようになるのです。高校受験はもちろん、実は大学受験まで差が出ます!
漢字ゲームで遊びながら、漢字の意味を学ぼう
小学校低学年から中学年くらいのお子さまには、ゲームがお勧めです。無料アプリも色々ありますが、アプリは漢字の面白さに気づいてから力を発揮します。まずはカードゲームで家族で一緒に遊んでみてください。
市販のゲームでは、こんなものがあります。
漢字の「へん」には意味があるんだなあ、なんて所からスタートしてもらえればと思います。これくらいのゲームなら手作りできちゃいそうですね。工作好きのお子さまなら、ゲーム作成から一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
ゲームの遊び方は自由です。タイム制限を決めて一つの「へん」の漢字をどれだけたくさん作れるかを兄弟姉妹で競ってみるのも楽しそうです。母娘チーム、父息子チームのように親子でチームを組んで対抗してもいいですね。
実際に漢字があるかどうか辞書でジャッジを!
ところで、私は大学生のとき、カナダでホームステイをしました。ステイ先の11歳の男の子と当時英検準1級の私が同じくらいの語彙レベルで、よく”Scrabble”で遊びました。こんな単語あるかも??と、文字を並べたらステイ先のパパとママが辞書でジャッジしてくれ、実際に単語が存在していたら、「こんな意味の単語だよ」と示してくれました。今思えば、とても教育熱心な家庭で、私も楽しみながら語彙を増やせました!
漢字ゲームで遊ぶときも、お子さまがこんな漢字あるかな?と「へん」と「つくり」を組み合わせたら、お父さん、お母さんは「そんな漢字ないよな~」って分かっていても、お子さまと一緒に漢和辞典などで確認してみてください。
さて、遊んでいるうちに、湖、港、池、泳、海、などの漢字が水に関係があるのは納得できますが、漢字の「漢」はなぜ「さんずい」なんでしょう?なんて疑問がわいてきたら、学びを深めるチャンスです。どんどん一緒に調べてみてください。大人でも意外に面白いです!
高学年のお子さまは、教科書の書き写し(社会)がおすすめ!
社会の教科書を配布されているけれど、ほとんど開いたことがない、という方も多いようです。補習校で社会の授業があっても、さらっと触れる程度で算数や国語のように宿題が出ないという話もよく聞きます。そこで、ご家庭で毎日10分間のタイムトライアル、として社会の教科書をノートに書き写すのをお勧めします。書き写せる文字数が増えると、励みになりますし学年相応の漢字を使う経験も積めます。
小学校で学んだ地理や歴史をベースに、中学校で地理、歴史をさらに深く学びます。日本の地理や歴史に触れる時間を増やすと、本帰国したときにゼロからのスタートではなく、少しでも馴染みのある状態で学べます!
書き写しは国内生の通塾コースでも取り入れています。よろしければ、こちらの記事もごらんください。
こんな本もお勧めです。
社会の話をしたついでに、漢字とはテーマがずれますが、こちらの本もお勧めです。小学校3年生くらいから使えます。
日本に帰国後、カナディアンスクールに通っているご家庭では、日本人なのにカナダの歴史を学んでもなあ、、。と仰っていて、このシリーズを国語の授業中に講師と楽しく読み進めています。解説をしたり日本地図で確認したりしないと、単なる謎解き本で終わるかもしれませんが、上手に使えば帰国生にはお勧めの本です。
漢検にトライするのも良いです! でも・・
海外の準会場は少ないですが、受験のチャンスがあれば漢検もお勧めです。漢検用のテキストでは、熟語のつくりや意味、「へん」や「つくり」、同音異義語など、意識しないと取り組めないことを学べます。級が上がっていけば四字熟語や対義語など、学ぶ幅が広がります!
ただし、帰国生入試のために英語の語学資格を取る必要があるなら、漢検は後回しでいいと思います。あれこれとトライして消化不良を起こしそうなら優先順位をつけてとりくんでくださいね。