これまでにお話しさせていただいた、海外在住の保護者様・生徒の皆さんのお悩みのうち、多くの方々から寄せられた国語に関するお悩みに、実際の授業を担当している講師がお答えします!
今回は主に小学生のお子さまをお持ちの方のお悩みに答えます。
帰国生お悩み相談【国語編】
日本語に触れる機会が少なくて・・・。
日本語に触れる機会が少なくて不安です。
海外にいらっしゃると、どうしても日本語に触れる機会は少なくなりますよね。
ご家庭の中でたくさん日本語で会話をしたり、日本に住んでいるご親戚の方と電話をしたり、手紙のやり取りをするのもいいでしょう。
それだけでなく、日本語で書かれた本を読んだり、日本の教科書を毎日音読したりするのも良いです。
海外にいる期間が長い方の場合は、絵本の読み聞かせなども効果的ですよ。日本の文化に触れる機会も増えます。
最近は電子書籍でも絵本や児童書が購入できますし、日々に少し工夫をすることで日本語に触れる機会を増やせます。
日本語を書き慣れるには何をすべき?
日本語を書き慣れるにはどうすればいいですか?
確かに日本語に触れる機会はもちろん、書く機会はもっと少ないですよね。書き言葉が苦手なお子様もいます。そういう場合は、 日記を書くこと をお勧めしています。
イベントや楽しい出来事があったときに書いていただくと良いと思います。ひとこと日記を毎日書くものいいですね。
実際、日記を宿題にして毎回の授業で添削している小学校低学年の生徒もいますよ。初めのうちはあったことを羅列するのみでしたが、最近は「楽しかった」など感情も入るようになり、文章も上手になってきました。
文字も読みやすくなっていきます。彼らの日記を読ませてもらうのを毎回楽しみにしているんです。
漢字が苦手!お勧めの漢字学習方法は、何かある?
漢字が苦手なんです。お勧めの学習方法はありますか?
漢字は帰国生の皆さんが困る課題の一つですね。
日本国内の小学校では、毎日のように漢字の宿題が出ます。何度も書き取りの練習を繰り返して漢字が書けるようになります。
海外で暮らしていると漢字を書く機会は少なくなるので、意識的に取り組んでいただきたいと思います。漢字の学習には、漢字検定用の問題集をお勧めしています。漢検の問題集は日本国内の生徒にも勧めています。
実際に受験するかどうかは別として、漢字検定の問題集は漢字の読み書きから筆順まで網羅していて使いやすいんですよ。漢字そのものの表す意味が載っていることもおすすめポイントの一つです。
漢字の意味が解っていると、知らない熟語が出てきたときも意味が想像できますからね。国語力を高めるためにも、是非チャレンジしてください。
帰国に備えて語彙力を上げたい!
語彙力を上げるにはどうすればいいですか?日常会話はできるのですが…。
熟語の意味やことわざ・慣用句・四字熟語なども帰国生が困る課題の一つですね。小中学生向けの「ことわざ・慣用句」「四字熟語」の本も出ていますから、読んでみるのもいいと思います。私も読んだことがあるんですが、大人が読んでも結構面白いんです。
あとはやはり、声に出して読んでみること。特にことわざ・慣用句は音の響きが良かったりするので、意外と親しみが持てたりするんです。
日本語の語彙や知識の上げ方に関する記事はこちらにも書きました。中学生向けの記事ですが、小学生の方にも参考になると思います。よかったら読んでみてください。
海外在住の小学生にお勧めの本
どんな本を読ませるといいですか?読むときのコツはありますか?
日本の教科書に掲載されているものなど、いくつかお勧めを挙げておきます。日本独特の文化や生活様式が書かれている本であれば、国語だけでなく、算数(数学)の文章問題を解くときにもイメージしやすくなります。
〇「くまさぶろう」 〇「月夜のみみずく」
〇「スーホの白い馬」 〇「ルドルフとイッパイアッテナ」
〇「ろくべえまってろよ」 〇「それいけズッコケ三人組」
〇「一休さん」 〇「くまのパディントン」
〇「あらしのよるに」 〇「大造じいさんとガン」
〇「小さな山神スズナ姫」 〇「不思議の国のアリス」
〇「エルマーのぼうけん」 〇「ガラスのうさぎ」
〇「あしながおじさん」 〇「魔女の宅急便」
〇「十五少年漂流記」 〇「クリスマスキャロル」
〇「君たちはどう生きるか」 〇「日本昔ばなし」
〇著名人の伝記
でも、まずはお子様の興味のある本を読んでみてくださいね。楽しく日本語の本を読む経験を積んでいただきたいです。
また、読むときのコツは音読です。帰国生にありがちなのは、日本語を話すことはできても読めない・かけない。つまり、音で聞けば何のことだかわかるけれども、字ではわからないのです。
音読をすれば自然に自分の声が耳に入ってきます。不思議なことに、音読することで文字だけでは分からなかったことがスッと頭に入ってきたりします。本を読むときには是非音読させてください。